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当時はポケットモンスターの製作がちょうど中断しているような時でした。非常に小さな会社です。下北沢に今もありますが何度もつぶれかかっています。一番最初に彼に会ったときに、初対面なのに信じられない奴だなと思ったんです。

まず、コーヒーが出てきたんです。そのコーヒーがのってるコースターがバリバリに割れたCDROMなんですよ。何でこんなコースターを、これは何か意味があるのだろうかと思って、その事を聞こうとしたら、その前に先に彼から「香山さんはゲームをやったら死刑だという国に生まれてもゲームをやりますか」と初対面で聞かれたんですよ。その時私はたまたま好きなゲームがあったから「ウーン、俺はたぶん見つからないように、死刑にならないようにやる」って答えると、「合格ですね」とか言われてしまって。別に受験しにきたわけじゃないのに、ずいぶん偉そうだなと思いました。

次に、このコースターは何だと聞くと「クソゲーの運命はこれなんです」と。つまり、クソゲームはこういうふうにしか使えないんですと。それをわからせるために新人に一回一番つまらないゲームをやらせて、それを、「お前だったらどうする」と聞いて、「もうやりません」と言うと、「やらないんじゃないんだ。こうやってバリバリにしろ」と教えてるそうです。テープで張ってあるのはだからなんですね。それを見ることて、「そんなゲームをつくってはいけないというのを、僕は教えているんです」なんて言っていたわけです。

結論から言うと、僕が言いたいのは、人に賭けてしまったということなんです。九州でイベントがあったときに、当時、もう大ゲーム作家になっていたダービースタリオンの園部さんと相方に田尻をおいて、ゲームアナリストの平林君というのが司会をする小さなイベントに協力をしたんです。当時田尻智というのはまったく無名でしたから、会場の質問は園部さんにばかり集中するわけです。そのイベントが終ったあとに、「これなんです」と言ってもってきたやつを、僕は何時間か借りてやってみると、これはすごいと、ケーブルで交換するというアイディアも効いていたし。これ以外はどうするのと言ったら、石原さんがカードのことを考えているので、東京に戻ったらその相談にのってやってくださいという話がありました。

 

 

 

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