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その辺を是非聞いてみたいのです。我々はあとになって、これだけ大きなヒットになって、社会現象にまでなって、「なるほどな」と後付けで考えるといろいろあります。

例えば、世界各国のポケモンに対する評判だとかいろんなことを分析しますと、例えば道徳心が裏に流れているとか、友達思い、朋友の精神が流れているとか、宗教的なものが流れているとか、あるいはいままで欧米にはみられなかったハート・トゥ・ハート、つまり言葉を超えたコミュニケーションが入っているだとか、言おうと思えばいろいろ言えるんですが、本当のところ、ポケモンというストーリー、あるいは企画の根底に流れていて、香山さんが田尻さんから最初に相談を受けたときに動かされた理由というのが、口で説明できるものであれば、聞いてみたいと思います。

たぶん、そこにこそ日本の強み、日本の創造力の強みがあるのではないでしょうか。

 

香山 後づけの理由のほうが本当は自分の頭のなかを整理するにはいいですよね。田尻とはもう7年ぐらいの付き合いですが、ここしばらくは会っていません。

リクルートがライフステージ、つまり結婚とか就職とか進学とか人生の節目における行動を支援する事業をやっていた時に、前の社長の井田が心を感動させる「感動ソフト」に取り組みたいと言っていました。私は当時、新規事業開発室という部署にいたので、マーケットのサイズが大きくて日本が強いところ、という発想でゲームから順番に始めて、しかもそのやり方もリクルートのスタイルでその領域を事業化するような形で進めました。

当時リクルート出版という会社がメディアファクトリーと名前を変えていて、資本金3億円規模の累損だけたくさんあった会社でしたが、ここを舞台にしてエンターテイメントのパブリッシャをさせようという方針のもとで、友人からの紹介で田尻君に会いに行きました。

 

 

 

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