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いままでは、デジタライズする処理だけをフィリピンなどでやっていたんですが、中核の製作過程がある部分韓国などにいけば、あるいは、更に中国にいったりしていけば、そのベースになるものは、ちょっと日本の製造業と似てくる可能性はあるんじゃないんでしょうか。

 

牧野 今日のフォーラムの最大ポイントはそこですが、そこに入る前に、これだけのビッグビジネスになってくると権利問題が浮上します。印刷媒体としてのマンガ。私の周辺にいる漫画家たちの間でも、いままでは問題にもならなかったものが、ここにきてにわかに深刻な権利問題となっています。係争中の例も幾つかあります。もともと売れ筋のマンガを真似してというか、似たものをつくって売っていくという風土が日本のマンガ界には実はあった。少女マンガの世界などそういう傾向が強かったわけですね。革新的なデザインをもちこんでも、編集者は、「いや、それは売れませんよ。何とか先生がいまヒットしているから、あのようにお書きなさい」という形で、次々にヒットを生んできたような歴史もあるわけで、もともと作品が似ているのは必然の結果とも言えるのです。

ここにきてそれぞれが、非常に大きなビジネスチャンスをもつようになると、この権利問題が浮上。私が素人の目で客観的に見るかぎり、法律のほうが追いついてきていない。法律家のほうが、「マンガのキャラをどう裁いていいか」わからないような状況があると思うのですが、香山さんの周辺でそのような問題は起こっていないでしょうか。

 

香山 権利問題については、世界に出ていく商売ですので、ゲームにしても映像にしても最初から一番留意しながらやっています。任天堂とゲームファンドの会社のような形でマリーガルという会社、この名前はマリオとシーガルを足しただけだったんですが、ここでダービースタリオンをつくっている薗部博之さんとか、ポケモンのプロデューサーの石原さんとか、そういう人たちと仕事をしていた時にも、最初から著作者人格権とか財産権などを含めて極めて慎重にやってきましたから、自分の周りでトラブルが起こったということはありません。

 

 

 

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