日本財団 図書館


これはたぶん韓国でも中国でもヨーロッパでも、たくさんやっていれば出てくると思います。これは、中国など、5%ぐらいの人がこのビジネスに入ってきたから、日本の10年分ぐらいを毎年やっている感じになりますからね。あっという間に席巻され得る可能性がありますね。

 

牧野 いま京都精華大学にマンガ学科を設置。ストーリーマンガ分野をつくって授業しています。4年制美術大学のなかでマンガを教えているというのは日本で唯一なんですが、留学生が非常に多い。そのなかでも韓国の学生は意欲、能力ともにすばらしいんですよ。先生としては学生みんながよくなってほしい。上手になってほしいんですが、それをいわゆる国とかビジネスというレベルで考えたときには、微妙な問題が起きるわけです。いまの香山さんの説でいきますと、早晩、韓国、中国にビッグビジネスが生まれて、日本の独走ではなくなるのではないか?―という予測がたつわけですね?。

 

香山 そう思いますね。私も映像についてはメディアファクトリー時代から、もうすぐ公開される押井守さんの「アヴァロン」を全員ポーランド人のキャスティングでつくったり、「バトルロワイヤル」を1年半かけてつくったりしていますが、WOWOWで「バンドレッド」というフルCGのアニメーションを13回、ワンクール分出したんですが、韓国だと4分の1以下で同じクオリティの作品が作れます。

そうすると、例えばバーチャファイターという世界でもトップの格闘ゲームがありますが、あれを映像化してみようかと。売るつもりではないんですが、30分ぐらいで一回つくろうと開発者の鈴木裕という人間に言っていまして、監督ですとかシナリオ、コンテといったコアの部分は日本でやる。製作の設計、施行ですね。設計管理みたいなところは日本、実際につくるのは韓国という形でやった場合、アメリカだとだいたい1億円ぐらいかけてつくっているのものが、日本円で千数百万円で30分ものができる。こういう時代がきます。そうすると、どんどん仕事が海外に流れて、現地にアニメーターもだんだん増えていきます。そうすると、絵を描ける人が日本よりも向こうに出てしまうかもしれないわけです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION