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新作を週に1回と再放送を何回もかけ続けていくというような形で露出機会を増やしていけば、アメリカのなかでは受け入れられていくだろうと確信していました。

それで、カードゲームについても紙質のチェックやルールの整合性を、メディアファクトリーのスタッフとアメリカ側のマジック・ザ・キャザリングをつくったウィザード・オブ・ザ・コーストという会社の間でプロジェクトをつくって周到に準備をして、ドンと入った。、恐る恐るやっていたアメリカ側のほうもだんだん自信をもってきたようで、成功してからは、「もう一緒じゃん、世界は」みたい感じにはなっていました。それが、ポケモン以前とポケモン以後というふうな形になっているんだと思います。

 

牧野 ポケモン以前に、例えばスーパーマリオがある時期アメリカの世論調査か何かでミッキーマウスの人気を瞬間的に抜いた時期があると聞いたことがあります。スーパーマリオが日本製であるということがわかってしまうと文化摩擦を起こすのではないかというような懸念があって、その時それをひた隠しにした。国籍不明にしておく、というようなことがあったそうです。

フランスでも、「うる星やつら」「ガンダム」というのが上映されて、フランスの子供たちに圧倒的な人気をもつと、今度は子供同士で喧嘩が起こる。「あれは、日本でつくったんだ」というといじめられるとか、そういうようなことがあったらしいのですが、「ポケモン」以前にポジションがなかった、という意味は、それは日本製だという看板を堂々と出したということでしょうか。それとも、スケールの点でポケモン以前とはまったく違うということでしょうか。

 

香山 たぶん、「ポケモン」も相変わらず日本製だと思っていない人もアメリカで多いと思います。スーパーマリオをデザインした宮本さんは工業デザイナーですから、二頭身でドットで描くしかないという考えです。その時に服をどうみせるかというと、オーバーオールしかない。特徴を出すのに白黒だからヒゲっぽく見せるしかないというので、彼はそういう絵を描いたんです。

 

 

 

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