日本財団 図書館


牧野 いま、当たってしまったという表現をされたのですが、それはなぜなのですか。いままでもこのフォーラムでいろんな方が来て、外側からの憶測で、こういうことで当たったのではないかというような話はしてきたんですが、いま、まさにその仕掛け人からそのお話を伺ったわけですが、香山さんからご覧になって、なぜ爆発的に地上げのごとく当たってしまったんですか。

 

香山 ポケモンが成功するかどうか、アメリカ側と日本側は考え方が違ったように思います。私は特にカードゲームや映像の立ち上げをやっていたんですが、日本側ではある程度自信をもっていたんです。ただ、アメリカでは「ドラゴンクエスト」を含めてそうですが、ロールプレイングゲーム、ああいった少し時間のかかるゲーム、一つずつのステップを踏んで、長い場合ですと7、80時間、場合によっては100時間超える。普通でも30時間から40時間しっかりやってゲームオーバー、クリアをしていくというふうなものに対する需要がないと、これは任天堂サイドも言っていました。

もともとポケモンのキャラは田尻智君が町田に住んでいた小学生の頃の思い出から自分の昆虫図鑑をつくったという感じだったわけで、例えばゼニガメというのは日本的な名前のつけ方です。もともと海外に出そうと思っていなかったものが、日本であれだけ当たったんで、アメリカで出せないかというふうな話が京都の本社のほうから出てきました。

アメリカは引いたわけです。見た瞬間、キャラクターも絵もそうだし、ゲームもそうだし、全然こんなの当たると思えない。アメリカ人スタッフの大半がそうだったと思います。だったら一回やらせてみたらいいじゃないかというので、日本語のまま「ポケットモンスター」のゲームをアメリカの子供たちにやらせてみると、すごく楽しそうにやっていたという話が伝わってきた。もしかしたらこここからアメリカは変わる、いけるかもしれないと思ったのを覚えています。いま現在、赤と緑と最初に出ているものを合わせて1千数百万本のゲームが国内で出ていると思いますが、ゲームが発売された当時きちんと注文がきたのは二つ合わせて13万本ぐらいでした。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION