子どもたちがそれに引きつけられて部屋に閉じこもっている。水曜日は教会に行かないといけないのにアニメばかり見ている。これはゆゆしきことで、文化侵略である」というくらい、―そういう言葉を使うぐらいアニメ、キャラクターというものに対して―私たちが普通に考えている評価とはちょっと違う、重い比重をもたせているんです。どうでしょうか皆さん。私もそう思っていたとおっしゃるか、いや、初めて聞いたねということか。私たちが普段何気なく楽しんでいるキャラクターにそのような力があるんですけど―。はい、どうぞ。
野崎 日本の漫画は何でこんなに発展したのかと考えると自由度なんです。その自由度はかつてのマンガ家たち、諸先輩たちが血と汗で自ら築き上げたもので、決して政府から自由にもらったわけではないのです。
その苦労の結果、どんなことでも表現できるキティちゃんの丸にちょんちょんでもいいし、エッチな大人のものでもいいし、何でも表現できるようになったわけです。
文字による情報伝達力と、絵による情報伝達力というのは月とすっぽんぐらい違います。日本のマンガは、小説のように深み・奥行きのあるストーリーを絵で見せてくれるわけですから。世界の人たちが魅了されてしまうわけです。それに先ほどの日下会長のおっしゃった単に強い者が弱い者をいじめたり、弱い者が逃げてそれを追いかけ回しているという単純なストーリーじゃなくて、千年の日本の歴史がバックボーンになっているようなストーリーがその上に乗っているわけですから、これほどすばらしい原作を持っている国は日本だけだと思っています。現に皆さんお気づきですが、最近テレビドラマで高視聴率をとるものはほぼ例外なく原作は漫画です。まだそんなに多くはありませんが、ハリウッドが日本の原作を買いに来る。これもほぼ例外なくマンガが対象です。
このように、日本の作品は既に多くの人々を幸せにしていて、それ以上の可能性も持っているのですから、マンガ家を目指したり、クリエイターを目指す若い方々には是非自信と誇りを持っていただきたいと思います。