牧野 そうですね。むずむずしてきませんか?話したくなりませんか?いつでも手を挙げてくださいね。たれパンダというのはパンダなんですが、ただのパンダではない。疲れたように、タレているパンダキャラクターがありますよね。あれは多摩美を卒業したばかりの女性デザイナーが考えたんです。文房具の会社に就職して制作しました。あれも大変な経済効果を生んでいるんです。
キャラクターというのは不思議ですね。ピカチュウも今話題になったキティちゃんでも単純ですよね。きょうは映像を全く用意していませんが、ピカチュウとか一連のキャラクターも皆、単純です。アンパンマンなどは、やなせさんが幼稚園の子どもたちにもらくらく描けるように設計しました。輪郭の丸をグニューっと描いて、鼻の丸を描いて、チョンチョンと目の点を描く。―どの子どもにも描けるようにということが一番大切な心構えだったんです。そういうことをやなせさんはおっしゃっています。その単純な形のキャラクターが大ブレークする不思議さがあるんです。例えばスーパーマリオというキャラクターがゲームの中で活躍しましたが、これは京都のカードメーカー「任天堂」を世界一流の企業に押し上げてしまった。そして、あるときアメリカのミッキーマウスの人気を抜いたという瞬間があったそうです。それが日本生まれのキャラクターであることは、ひた隠しにされたと聞いています。ハードを売るのは構わないが、ソフトまで日本のものになってきたら、アメリカのプライドが傷つく―ということらしいのです。“たかが漫画”ではなくて、ミッキーマウスは国民的ヒーローとしての愛着があるのですね。
それから、フランスのある文化担当官は霞ヶ関でこんな話を致しました。「フランスの朝のテレビで、日本のアニメとアメリカのアニメが放映されている。水曜日のあるチャンネルをひねるとずっとアニメーションばかり。