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牧野 記号論となると専門の学会があって研究しているわけですから、確かに短時間で話ができるというものじゃないかもしれません。しかし、―にも関わらず、やさしく自分の意見を言ってみる。―そういう切り口で話し合いをしているものですから、私の場合は【マンガは表情を持った記号である】―泣いたり、わめいたり、笑ったりする記号であると言い切っています。あそこに、「非常口」の表示がありますね。(指差す)いざというときはあそこから逃げますよ、という記号がありますが―。もし、あれを漫画で表現すると、汗をかき、大きく口を開けて「大変だ、火事だ」と叫びながら逃げていく人物があそこに描かれることになります。そういうふうに非常にわかりやすいというのが漫画ですが、スッキリまとめようとすると、デザインとして完成度の高いあの形になるわけですね。この文字、記号、漫画ということに対しては、やはり日下さんも一家言をお持ちです。ぜひやさしく、―ある程度乱暴でも、―短いがゆえに誤解されるということを恐れずにご発言願えたらと思いますが、いかがでしょうか。

 

日下 今日会場にいらしてる方でパソコンをやっている人、手を挙げてください。インターネットやっている人はどうでしょう。ウィンドウズを使っている方。大体同じようなくらいですね。半分強という感じでしょうか。

ビルゲイツさんが日本が作った記号を買いに来たんです。それはキティちゃんです。あれをウィンドウズの中にちょっと入れると大変かわいくていいだろう。それでサンリオに使用権を買いに来たんです。何なら丸ごと全部買ったっていい。サンリオの使用権も買い上げる。それで値段を幾らつけたと思います。何百億円と思う人。何千億円と思う人。何千億円と思う人がいるのは偉いですね。正解は7千億円と言ったそうです。

キティちゃんなんて、丸書いてちょんちょんという記号ですが、あれが実に可愛いいと受けている。これを使えば7千億円の値打ちがある。ビルゲイツさんは頭がよくてOSをつくった人ですが、頭がいいだけじゃ儲からない。可愛い方がよっぽど儲かると考えたわけです。

 

 

 

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