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橋本 僕は、受け継がれているかどうかまではわかりません。わかりませんが全然高知に関係ないのに、高知に来て知事になっているんですが、高知以外で果たして知事になったかというと、多分ならなかったんじゃないかという気がするんです。何か人を引きつける不思議な磁場といいますか、この土地に生まれて住んでいる人が意識しているかどうかは別ですが、僕はそういう何か他のところと違うものがあると思います。

だから、若い人たちにもそういう何か目に見えないものというのは、きっとあるんじゃないかと思います。だからこそ、さっき言ったように漫画なら漫画というものを、世間の中では少し低く見られていたりしている、そういうことを好きでやっている人たち、デザインということにもつながりますが、みんなもっと自信を持ってもらえば、また自信を持ってもらえるような評価の場をつくっていけば、僕は今、佐竹さんのおっしゃったような、これまで隠れていたものがばっと出て、これが新しい文化にもつながり、ビジネスにもつながるという面になるんじゃないかというふうに思います。

 

牧野 関東に来られ、活躍されている漫画家の方々はみんな大変強い個性を持っています。これは横山先生を初めとして、皆さんがそうなんです。こういう気骨のある人たち、文化人たちがたくさんいらっしゃる中で、橋本知事が文化行政を推進されているわけです。10年間、―実はちょっとやじ馬的に外から見ていたんですが―、10年間の「まんが甲子園」の歴史の中でほとんど知事はこれというような指示―というか、余り強いことはおっしゃらずに、外側から上手に見守ってこられたように思います。いわゆる出資者側の、―本来なら非常に大きな発言力を持っている人たちが、文化を育てていくときの何か、基本的な心構え―というのはおありなんでしょうか。NHKから高知県にいらっしゃって、知事の椅子に座られた方なので、敢えてお聞きしたいと思います。

 

 

 

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