日本のアニメなどは、大日本帝国とかそういう文化を広げようとするものとして作り出されたものではなくて、むしろ、作り手がこれは楽しいと、自分のいわゆるアイデンティティで自分がおもしろいということを追求しているうちにできたもので、それが人々が広く受け入れられて、それでいまのアニメ文化のブームになったのではないかと思います。
李先生、先ほどメモをとりそこなったんですが、自動車の輸出のこととアニメの輸出のデータを比較されていましたが、それをもう一度教えていただけないでしょうか。
李 1995年に「ジュラシックパーク」が輸入されたときに、その映画をつくったスピルバーグ監督が、世界のいろんな国にその作品を売り出して得た純粋な利益の金額が、韓国の現代自動車という会社の車を百万台売った利益よりも多かったそうです。たしかトヨタ自動車だったら50万台分の値段だと思います。
それは映像産業というのは無限大の可能性をもっているといういい例ではないかと思います。その可能性は今後コンピュータの力を利用してもっと栄えていくだろうと思います。いずれはコンピュータが映像アニメーションを支配するような時がくるということを意味するものではないかと思います。それが韓国でアニメーション学科をたくさんつくった根本の理由でもあります。
莫 ちなみに、いま韓国のアニメの輸出金額はどれぐらいですか。
李 年2千万ドルで、年50%以上の成長率をもっています。韓国でいま制作されているテレビ放映用のアニメーションというのは、1年間104篇です。でも、日本は5千作品だそうです。そういう状態は、まだ韓国は日本と比べるほどの、日本を侵すほどの相手には全然なっていないということです。