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漢字に染まっている。そのうえ、日本人が開発したと思われていた仮名も、実は昨日あたりのNHKニュースですと韓国にその源流があったというような報道がありまして、きょうの新聞を漁ったんです。新聞はまだそれを追いかけて記事にしていませんでしたが―。それから、先ほど申し上げたキャラクターという点でいえば、中国には「西遊記」という非常におもしろい自由奔放な発想の物語があって、1匹のサルが天上界―神の国と地上界を自在に行き来して活躍する。そして三蔵法師のお供をし、経典を求めて仏教の国インドまで、源流をたどる旅をする。そこに日本的解釈ではブタや河童など、バイプレイヤーもいる。一行は“キント雲”に乗って十万里をひとつとびで飛んでいってしまうとか、毛を1本抜いてプッと吹くとそれが何万匹のサルになるとか、―そういうようなアイディア、キャラクターの設定―物語のエッセンス総てが盛り込まれているようなものがある。日本の手塚さんの作品にも、東映の長編アニメにも取り入れられましたし、そういう影響は―、これは「侵略」という言葉は別として、どっぷり浸かってしまうという点において、【日本ほどすぐに侵略されてしまう国というのはない】のではないか。ディズニーランドがくるといえば、どっぷり浸かって、我が物のようにしてしまう。

そうすると、私はここで座長、司会の立場ですが、あえて仮説を立てるならば、そういったものを島国であるからどんどん受け入れてしまう。アジアのものも受け入れる。それからヨーロッパのハイテク技術もどんどん受け入れてしまう。その【混然とした融合状態そのものに何らかの魅力が生まれている】と、そういう仮説を立てるのですが、日下さん、いかがでございましょうか。こういう考え方は―。

 

日下 実はこの1週間インドに行ってきまして、今朝早く帰ってきたばかりです。普通日本人は北部インドに行くんですが、私が行ったのはベンガル湾地方の「マンガロール」という都市で、まさに今日のフォーラムにぴったりの名前です。

そこで森尻さんという住み込んで研究をしている文化人類学者の方に案内していただいたんですが、あの辺は何か日本のような気がしました。

 

 

 

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