日本文化に対する関心が非常に高くなっている。以前どなたかがパリの例でおっしゃっていましたが、10年前であれば大学出のエリートしか日本に対する関心はなかったにもかかわらず、テレビアニメの影響で10歳、15歳の少年少女が日本に対する関心が高まっているそうです。
聞きようによっては日本人にとって非常に嬉しいことです。一生懸命日本のことをわかってほしい、理解してほしいということで文化政策というのがあるならば、これが文化政策の戦略的な使い方でさえあるように感じるわけです。
先ほど、何が人気の秘訣なのか、無国籍性なのかどうなのか。私はストーリーではないかと思います。アニメにかかわらず実写でもそうですがストーリーは大切な要素です。ただ実写の場合、金をかけた場合とかけない場合で極端に作品の出来が違ってきます。一方、アニメではそれほど金をかけなくてもストーリーの質の高さで良い作品に仕上げることができるんです。
何がお聞きしたいかというと、ともすると文化的侵略とまで曲解される方もいるかもしれませんが、ある程度の文化戦略になる重要なジャンルだと私は思っているわけです。かつ、自然な受け入れ方で反発のない形で日本を知ってもらえる、知りたいと思ってもらえるので重要なジャンルです。日本のマンガがそんなに諸外国で人気があるのはなぜだとお考えでしょうか。それが1点目です。
それから2点目は、呉先生はよくハイブリタイゼーションという言葉をお使いになるんですが、これはローカルのアニメーションが例えば日本のアニメーションとミックスすることだろうと思います。その点について詳しくお聞きしたいと思います。といいますのは、先ほど日下会長がアジア文化圏みたいなものにつながっていくのではというお話をされたので、もちろんこれはナショナリズムではないんですが、対欧米に対するアジアン・アイデンティティになっていくのかなと、ちょっと難しく考えすぎかもしれませんが、思ったためです。ハイブリタイゼーションはどういう方向に進んでいくのか、というのが2点目でございます。