日本財団 図書館


牧野 【無国籍なのが日本的】―これもこのフォーラムで何度も出ましたね。だからなのか、それだけの理由なのか、小野さんはどうお考えですか。受けるということ―むしろ、その企業の販売政策の成功なのか、つまり、カードを売り、子どもたちの関心を増殖させて行く―宣伝のうまさというようなものなのか。

 

小野 それはそう簡単に一言では答えられないと思います。先ほど呉さんがキャラクターよりもアイディアとおっしゃいましたが、それは僕もそう思うんです。お話をうまくつくっているとか、そういった努力というのはアニメで急に花開いたという形ではなくて、マンガのほうで培ってきていますから、そういうことが積み重なった結果なんで、一口で簡単にこうすればというふうにはいかないと思うんです。

 

牧野 どうでしょうか。ほかの方で、そのご意見をお聞かせ願いたいと思います

 

莫邦富 ジャーナリストの莫と申します。呉先生にお聞きしたいんですが、牧野先生がお聞きになっているキャラクターの問題です。先ほどシンガポールでつくられたマンガで「十二動物」の話がでました。これは中国に非常に親しまれているキャラクターなのでシンガポールで大々的に受け入れられるだろうとみんな予想していたんです。製作会社の人を私は直接取材してないんですが、ちょうど親しい友人がその会社を取材してそのレポートを読む機会があったんですが、相当自信満々に売り出したようです。中国本土、香港、台湾にも売り出そうとして、ビジネス的にもいけそうな計画を立てていたらしいですが、先ほどの呉先生の話では、シンガポールのテレビ局ではそれを放送する予定はない。私たちにとって非常に意外な結果ですが、それはなぜなのでしょうか。

 

呉 それは意外ではないと思います。シンガポールのテレビ局はすべてマンガ・アニメのことはビジネスと考えています。国民の教育のツールとしては捉えていません。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION