小野 ひとつ参考のために、海外というのは、例えばいくつの国、どういう国に、テレビ放映されたのでしょうか。
李 具体的な国とか数というのはいまちょっと覚えていないので、あとで資料を提供することもできますが、だいたい、いま韓国のアニメーションが輸出対象になる国というのは30カ国ぐらいになります。ツルリはドイツの劇場でも放映されたことがあります。
小野 それはその漫画家の人に会ったときに言っていました。ドイツ語版をつくるんだという話をしていました。いまのお二人のお話から、その国のオリジナルのキャラクターをつくるのがいかに難しいかということを感じました。日本のアニメの場合はほとんどが日本のマンガがもとになっています。そして、そのマンガを描いている人は、基本的には外国で人気を得ようなんて思わないで描いていたわけです。それがいつの間にか人気になっている。その漫画家自身が、こんな作品が例えばシンガポールなり台湾で人気が出ていることに、こんなものまで受け入れられるのかというふうに逆にびっくりしているような状態がいまでもあると思うんです。
ですから、皆さんがおっしゃっている「国際マーケットを意識した作品づくり」という図と、ちょっと日本の漫画家の場合は違うんです。もちろんデジモンなどをつくったりしている人はそういう意識はあるけれども、基本的にはそういうことを考えないで描いてきたものがだんだん、アジア圏といいますか、アジアの漢字圏といいますか、アジア地域に広がっていたということがあります。それは結果的には日本独自のやり方になったという気がしますが。