松本零士は、ちんちくりんで、足が短くて、鼻ぺちゃの男の子をマンガに描いたんですよね。どうせ俺はこうなんだと。
そうふうに日本人をありのままに描いて押し出すというのがやっとその当時出てきた。韓国も含めてどの国もいずれそういう段階に入るのではないかと思いながら李さんのお話を聞いていました。
牧野 ここまできまして、そろそろ会場の皆様も何か言いたいという段階に入ったと思います。キャラクターの多様さ、これは比較するためには外国の事情を知った方の知識が必要なんですが、ああ、小野耕世さんがおいで下さっていますね。小野さんは、こちらに座ってお話もしてくださいましたが、例えば一つの河童のようなキャラクターが2千も3千もあったりするような、そういう発展の事例というのは、ほかの国はどうでしょうか?ヨーロッパの国々にはそんな事例がありますか?最初の口火を切っていただきたいと思いますが。
小野 シンガポールの呉さんに質問させてください。
日本のマンガがアジアで人気があるのはもうわかっているんですが、シンガポールのマンガにも興味がありまして、先ほど紹介されたキャスーというカピーズがつくったあのマンガが僕は好きなんです。その漫画家にも会っています。先ほどのお話ですと、要するに英語で描かれているマンガというのはシンガポールの社会では不利なんですか。つまり、中国語のマンガのほうが人気が高いということがあるんでしょうか。
呉 シンガポールでは、英語を読む人と中国語を読む人は別な人です。主に年配の大人は中国語はあまり読まないです。ですから、本当にマンガが好きでも英語のものしか読めないんですけれども、子供の場合は、逆に英語のほうが得意です。でも好きな日本のマンガのために苦労して中国語版のマンガを読んでいるんです。