李 私は、日本のキャラクターにはいくつか特徴があると思います。日本のテレビのアニメーションが成功した一番大きな理由として考えられるのは、アメリカのアニメーションが一つの物語として終るようなシステムをとっていることに比べて、日本のアニメーションはまた次の第二、第三につながるような物語にしています。一番最後に、「続き」といって「来週」とか「次回に」ということが必ず入っていますね。
もう一つは物語の多様性。もう一つはキャラクターが無国籍なことです。1970年、1980年代のアニメーションをみると、男の主人公の場合は必ず日本の少年、女性のキャラクターの場合は必ず金髪で長い足、青い目をしている。そして、そこに無国籍の第三人物が入っています。そういう人物の登場というのは、どの国のテレビに現れたとしても拒否するようなところがないと思います。
更に、もう一つは、物語のなかにイデオロギー性が少ないことです。アメリカのディズニーのアニメーションの場合は、必ずアメリカイズムといわれるようなアメリカを強く出す部分が入っています。その結果、アメリカに対していろんな歴史的なものをもっている南米などの国では、アメリカのアニメーションに対してはある程度の拒否感、反米感が生まれます。
つまり、日本のアニメーションにはどの国にいって放映してもそれほど拒否するような部分があまりない。キャラクターに国籍がはっきりしていないので、どの国の物語にしても当てはまることがうまくいったのではないかと思います。イデオロギー性が弱い反面、すごくかわいさを強く表したキャラクターが受けたんだと思います。
そのような要素が、日本のアニメーションが世界のどの国でも放映されても、子供たちに愛されるようになったのではないかと思います。
10年前パリにいたんですが、パリの本当に幼い女の子たちが「ドラゴンボール」の主題曲をフランス語で歌いながら走っているのを見てびっくりしました。そのとき、アニメーションってこんなに偉大だなと思ったんです。