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それが、結果的には劇場映画ではなくてテレビシリーズのアニメーションになりまして、日本のアニメーションが世界的なテレビアニメーションを支配するようになった基本といいますか、スタートではないかと思います。もう一つ、彼が行ったことのなかで一番感心するのは、日本の若者たちに夢を与える鉄腕アトムという存在を作り出したことだと思います。

1980年に韓国が特徴的なアニメーションをつくる前までは、韓国のマンガやアニメーションは90%が日本のアニメーションマンガでした。その当時に、韓国の若者たちが知っているキャラクターというのはすべて日本のキャラクターでした。「ジャングル大帝」のレオとか、鉄腕アトムなどです。

そのあと、1980年代になって韓国の特徴的なアニメーション業界が活発に動きだしたものの、国民的にこれだといえるキャラクターというのはまだ生まれておりません。ただし、韓国的なとはいえないけれども、キャラクターとはこういうものだということを世間に知らしめたものとして「ツルリ」という恐竜を使ったキャラクターが生まれました。それは日本と同様に韓国において出版されたマンガから生まれたキャラクターです。そのあと、キャラクターというイメージを国民といいますか関連する人たちがある程度つかんだあとは、ものすごい数のキャラクターが生まれましたが、そのなかで代表的なものはありません。

韓国ではアニメーションとかマンガを含めてキャラクターに対する関心がすごくありまして、キャラクターを公募するようなコンテストなどもたくさん行われておりますし、いまのところ、キャラクターを作り出すという産業の一部としてそれが大きなブームになっております。その大きな理由として、キャラクターというのは、その次にゲームのスタートにもなりますし、産業的な面で考えたときは、一つの始まり、スタート地点だということで、アニメーションよりもキャラクターそのものを作ることがほうがいま韓国で盛んです。

 

 

 

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