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そういった古典的なキャラクターがいて、タヌキは茶釜に変身して綱渡りをしたりもする。そういったものが、現代の“アニメ時代”、例えばトトロのような新しいキャラクターに繋がっているのか?どうか?―ネコやイヌもたいへん日本人にかわいがられている小動物で、新旧の物語の中にも度々登場する。これがドラえもんとかキティちゃんなどに、どう、関連しているのか、―いや、不連続なのか?―というようなことは研究対象になると思いますが、呉さん、お国のそういう民族的なキャラクターには、どのようなものがありますか?伝統的に皆さんが共通のアイドルにしているキャラクターはあるでしょうか。

 

呉 シンガポールは、自国の歴史もそんなに長くないし、伝統文化も大衆文化もあまりもってないんですが、しかし、日本のアニメあるいはマンガにみんな興味をもっているのは、やはり、同じアジアの人で、文化が似ているし、価値観もやや似ているからだと思います。例えば、日本のマンガにはよく人が興奮する話が出る。その場面を見ると、シンガポールの華人はすごい面白いと感じるんです。インド系とマレー系の人は全然わけがわからない。全然おもしろいとは思わないんです。「ドラゴンボール」が一番人気があったのは、ストーリーはもともとは中国語の古典のものであると、それはシンガポールの華人はみんな知っているし、私たちにとっては日本のマンガの技術よりもアイディアのほうにものすごく魅力を感じるんです。

 

牧野 李さん、同じ質問で、韓国では独特の国民的なといいましょうか、民族的キャラクターというのはありますか。

 

李 私が知っている限り日本の一番代表的な作品というか作家ということを名乗るのだったら、手塚治虫さんを挙げたいと思います。手塚治虫さんというのは、日本のアニメーションやマンガにおいて革命を起こした人ではないかと思っています。また、1950年代、アニメーションということをはじめたと思いますが、そのとき、日本の経済的な事情というのがありまして、フルフレームでつくるべきアニメーションが二つとか三つに分かれて作品が出来上がったりしたと思います。

 

 

 

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