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これもそうですが、もとは裸ですが、いまはちゃんとパンツをはいて、学校の服も着ています。

これは体の一部をカバーする例です。

過激な暴力も駄目です。左はもともとの絵ですが、体を切られて血がいっぱい出ているんですが、右は修正したもので、血が全然見えなくなっています。

アニメに対する検閲はマンガより更に厳しいです。例えば「課長島耕作」のような名作も禁止されています。大人向けのアニメはあまり入ってこないので、アニメを見る人は子供と若者ばかりです。

最後に、日本マンガとアニメの影響について説明します。

第1に、日本マンガとアニメはシンガポール人の日本に対する興味をかきたてます。シンガポール大学の日本研究学科は、最近2、3年、1年生に対して日本研究を専攻した動機についてアンケート調査をしていますが、同じ結果が出てきます。すなわち、マンガとアニメをはじめとする日本大衆文化に興味をもっているからという答えが半分以上です。私が、3年前につくった日本大衆文化という科目の受講生は毎年200人を超え、100人以上がキャンセル待ちです。日本研究学科だけではなく、文学部と社会科学部のなかでも最も人気のある科目の一つとなってきます。

日本マンガとアニメは、日本の姿をすべて描き出しているわけではありませんが、シンガポール人にとって、日本を認識する窓口の一つとなっています。例えば、「ドラえもん」のなかでジャイアンがのび太君をいじめる場面を見て、日本の学校にいじめ問題が存在していることを知ります。一部の作品、特に少女マンガからも日本の若者の愛情、友情、家庭、仕事に対する考え方を理解することができます。

第2に、日本マンガとアニメは、日本に対する親近感を与えます。戦後生まれの第2代、第3代のシンガポール人にとって、日本のイメージは、「ドラえもん」「ポケモン」「キティ」ちゃんのような夢の国です。もちろん彼らのほとんどは日本へは行ったことがないし、本当の日本は知りません。

 

 

 

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