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香港と台湾の日本マンガ雑誌は1回約9万冊売れています。シンガポールでもっとも人気のある日本マンガ雑誌である「コミックウィークリー」の売上は1回7千500冊だけです。

これは「コミックウィークリー」です。日本各社の人気作品を勝手に翻訳して出版するマレーシアの海賊版雑誌です。ご覧のように、いい作品ばかりです。

一方、単行本の場合は、日本では人気作品が1回100万冊以上売れています。香港、台湾とタイでは10万冊以上、インドネシアさえも4万冊くらい売れています。シンガポールでもっとも売れている作品である「ドラゴンボール」と「スラムダンク」の売上は1回1万冊以下です。市場が狭いので、日本マンガの地元の出版社は一つしかありません。また、地元で出版される日本マンガ雑誌は一冊もありません。

一方、シンガポールにおける人気日本アニメの視聴率は5から7%です。それに対して、日本、台湾、香港では約20%に達しています。シンガポール人はあまりマンガとアニメ雑誌を読まないので、最近の情報をよく知りません。たくさんの人々がいまでも数年前に日本で流行していたマンガ本を読んだり、アニメを見たりしています。

第4に、シンガポールの日本マンガとアニメの内容は、比較的厳然です。政府の検閲基準が大変厳しいため、すべての作品の内容が細かく検閲されます。猥せつ、不良、暴力といったものが含まれている作品は禁止されています。政府は作品の内容と絵を修正するように出版社によく指導します。例えばシンガポール版の「スラムダンク」は、日本の原作と異なる個所が多いです。漫画家の井上雄彦は、わざわざシンガポール版の「スラムダンク」の一部の絵を書き直しました。

しかし、ほとんどの場合はシンガポールの出版社は勝手に日本マンガの絵に修正を加えます。例えば、裸に下着や服を書き足したり、体の一部をカバーしたりする場合が多いです。二つ、下着や服を書き足す例を見ましょう。

(スライドを上映しながら)これは皆さん不思議だと思うんですが、なぜ服を着ながらシャワーをあびますか。もちろん服は地元の出版社が加えたものです。

 

 

 

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