日本財団 図書館


第1に、日本マンガとアニメは華人サブカルチャーです。日本のマンガ本、雑誌、アニメのビデオ番組とビデオCDには、中国語版のものが圧倒的に多いです。日本マンガの英語版はほとんどありません。地元の出版社によって出版された日本マンガの英語版は数冊しかありません。一つはモスマイクルです。MGクリエイティブという小さい出版社によって出版されたものです。翻訳のレベルは高いけれども、あまり売れませんでした。お気の毒なことに、この出版社は翻訳出版後間もなく倒産しました。もう一つはポポシャンです。出版社は地元の大手のエイションパクです。利益はあまりなかったので、エイションパクはその後、日本マンガの英語版の出版を断念しました。

アメリカと日本で出版された日本マンガの英語版はあまり輸入されていません。マレーシアとインドネシアは百種類ほどの日本マンガのマレー語版を売り出したそうですが、シンガポールに入ってきたのはわずか数種類だけです。これは、シンガポールでも売られているマレー語版の「ドラえもん」です。日本マンガのタメル語版は一冊もありません。一方、9割以上の日本のアニメは、地元テレビ局で中国語に吹き替えられて放送されます。ビデオCDも中国語版ばかりです。それゆえ、シンガポールのマレー系とインド系の人々は、日本マンガとアニメと接触する機会があまりありません。

第2に、マンガとアニメは若者、特に若い男性の文化です。日本では子供だけではなく、サラリーマン、OL、主婦もたくさんのマンガを読んだり、アニメを見たりします。台湾と香港も日本マンガとアニメに熱中する大人が多いですが、シンガポールでは、日本マンガとアニメは若者、特に男子中高生に好まれます。子供は日本のビデオゲームに熱中していますが、中国語はあまり得意ではないので、読んでいるマンガのほとんどは英語ものです。大人と高齢者はさらに保守的で、もちろん日本マンガとアニメに興味をもたないし、自分の子供が読んだり見たりすることに反対しています。

第3に、シンガポールの日本語マンガとアニメ文化はまだ成熟していません。マンガを読む人口の割合がそれほど高くありません。日本の「少年ジャンプ」と「少年マガジン」は1回300万冊から600万冊売れています。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION