現在、経済的な理由もありまして、大きな活動というのは目立っておりませんが、先ほどのプーチャンで行われた世界大学生マンガフェスティバルというのはこの学会が支援してつくったものです。それから、いま現在42カ所の学校にマンガ学科が設立されていますが、その学校のカリキュラムや内容に関しても支援をしております。
それから、このマンガ学会がもっている一番大きな意味というのは、マンガやアニメーションが産業としてのみ捉えられるようなことをある程度抑えながら、学問的な研究や方向を提示するようなことを頑張ってやるつもりでおります。
韓国のマンガ業界とかアニメーション業界についての説明というのは、一人で2時間しゃべってもたぶん時間が足りないと思いますが、今世の中には、日本のマンガ・アニメーション市場とか、アメリカが握っている劇場用のアニメーション市場といったマーケットがあります。韓国がいま一番狙っているのはテレビ用のアニメーション制作ですが、韓国の場合劇場用のアニメーションをつくるとしても、アメリカのディズニーに勝つというか、乗り越える自信はありません。アニメーションというのは、結局、内容とテクニックの感動をどのように受けるかによって決まると思いますが、その両方とも1日で出来上がるものでは決してありません。「ライオンキング」の場合は、5千万ドルを一つの作品に投資したりしたんですが、現在は1億ドルを超えるような作品もたくさん出ております。そんな作品に比べて、韓国で300万ドルぐらいのお金でつくったものが勝つということは絶対あり得ないと思います。それに比べて、日本のアニメーションというのは、テレビ放映用のアニメーションを握っているのではないかと思っています。
韓国のアニメーションの場合は、日本の市場とアメリカの市場のすき間を狙っていこうというのが狙いですが、いずれ韓国が日本のアニメーション業界のライバルになるような時期もくると思います。でも、いま世界はグローバル時代になっていますので、市場が「世界」という一つになっています。その市場で韓国と日本が競争の相手として考えるのではなく、協力関係としてお互いにうまく道を開いていくのが、アニメーション市場の可能性ではないかと思います。