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牧野 では、最後にそれを拝見しましょう。先ほども申し上げましたが、この映像を見たら、精華の学生たちはも分野を超えて興味をもつだろうと思います。

 

竹内 「アリーテ姫」というタイトルです。おおよそ派手なものはない、主人公はシンプル、いまのアニメーションのいわゆるマーケットが求めるものと全部逆なことをやっていますが、本編を見ると何かが心に残る、という非常にすばらしい作品だと思います。

 

(ビデオ上映)

 

田中 実現するのに非常に苦労して8年かかっています。シナリオも何十回と書き直しました。経済的にどうかいうと、こういう地味な作品に喜んでお金を出すところは実際ありません。金だけ出してあとは文句を言えないようなサイズの作品をつくることでこれを可能にしようということで、総制作費が1億5千万円、5社集めまして1社3千万円。これをビデオにします。海外にももっていきます。いろんな話のビジネスプランを立てて、3千万円ならばと言わせて、黙ってつくらせてほしいという交渉を続けてやっと成立した作品です。私たちがつくりたいという思いだけでつくりました。最近の映画では、単館上映だけでも20億円とかを稼げている時代になってきて、いまこの作品が実現したというところで、とても貴重な作品だと思っています。

 

牧野 それを可能にした理由はなんですか。その金額で作品が成立したという理由。

 

田中 やはり、回収の目標がきちんと立てられるビジネスプランだっただからだと思います。これを足がかりにして、こういうマーケットサイズのものでもきちんとつくれるという実績が増えていくことで、これが私たちとしては力になっていくと思います。これをきちんと単館でも上映し最低でも2億稼ぎ3億稼ぎということを地道につくって、いろんなところを歩いていって稼いでいくということで、そのマーケットサイズを少しでも多くしていく。それによって私たちが本当につくりたいもので稼げるようになり、その規模を30億、40億にしていきたいと思っています。

 

 

 

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