例えば、マンガでいえば白黒は駄目だよと、全部カラーにしなければ駄目だよというのがあります。甚だしい例でいくと、「将軍ウォーリアズ」という作品があったんですが、日本のロボットアニメの「コンバトラーV」などの三つの作品を切り張りして一つの作品につくってしまったわけです。売れればいいじゃないかというとスタンスですが、作り手としてどうかという問題があるのは、皆さんお考えになると思います。
例えば寿司もそうです。アメリカではネタを全部ソテーにされて、米はチャーハンにされてしまう。作り手が、「ウーン、売れればこれがいいのかな」と思ってしまうと、それはある意味で堕落だと思います。
たしかに、僕も物書きですから本をつくるときに、売れる売れないを考えます。しかし、ここまで魂は売ってはいいけれども、ここから先はいけないというの一線が必ずあります。その規範がなくなってしまうと駄目ではないでしょうか。
例えばイスラムの国などは戒律が厳しいですから、もちろんレギュレーションはたくさんある。どこで折り合いをつければいいのかというところが今の日本だと非常にその辺が暖昧だと思います。アメリカヘいったら変えなければいけない。でも、変えて寿司がチャーハンとソテーになってしまっていいのだろうか。そのことをもう少しメディアのほうでも議論していっていただきたいことだと思います。
内記 現代漫画図書館の内記と申します。
御存知の方もいらっしゃると思いますが、22年前から漫画図書館というのを開きまして、我が国初ということで、当時は大変騒がれました。現在、蔵書が16万冊に増えました。これをやったら儲かるんだという話が先ほどからいっぱい出ていますが、私の場合は儲かる儲からないにかかわらず、自分がやらないとこの世の中に漫画が残っていかないんじゃないかという使命感でやっています。大袈裟にいえば、私財を投げ打ってやっています。ビルが借金コンクリートなんですけれども、最初に2階だけではじめたら、毎月700冊増えまして、1年で8千冊。その上は賃貸マンションでしたので、家賃でその借金を返済していたんですが、1部屋空いた、しめしめというので書庫にした。