どのように世の中に出ていったか。どのように、世の中に出ていくかというところで、アニメが更に発展するためにはと考えると、経済効果から逆算したモノづくりでは限界があると思います。受け入れられるマーケットを見越した供給では限界がある。逆に、パッションを持って描いていくということが絶対に必要で、そういう姿勢をご支援していただく活動をいろんな形で展開してお金をいただき、その結果更にお金に結びつけられるのだろうと思います。私もこの点では実際非常に苦労しております。
牧野 先ほどおっしゃったように、投資家に対して「手塚さん」といえばとおるんだけれども、手塚さんの作品をアニメーションにした時に残念ながら必ずしも売れるとはいえない状況があることも確かです。
ところが、もっと悲劇的なことは、私がいろんなところでお話すると、高齢で力をもっている方ほど、「あ、マンガ。ノラクロね」と。そこで私は絶望するわけです。
それからもう一つ、私が読売新聞社にいるときに「ディズニーランド」が上陸して、千葉の片隅に「テーマパーク」をつくったのですが、その時に現在のディズニーランドの状況を予測した人はほとんどいませんでした。デベロッパーにせよ、文化人にせよ、新聞記者にせよ、誰一人、「たかが、遊園地だろう。そんなもの3年もたないぜ」という意見がほとんどでした。誰一人賛成しないものをどうしてつくるんですかと言ったら、当時、皆さん御存知のようにバブル経済の最盛期でありますから、「いや、土地が上がればいいんだよ」という一言で、「ああ、そうなんですか。そういう感覚でおつくりになるんですか」というふうに私は当時とったんですね。
つまり、予測するということがいかに難しいか。お二人が見せてくださった映像を、「すばらしい」というふうに、決定権のある方が判断するのがいかに難しいかという問題があるわけです。「じゃあどうするのか」ということです。まさに難題なんだと思います。