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ただし、危倶しているのは、「世界規模のアニメに出資してください、13億」と言うと、「高いね、君」と言われる。「世界規模のITソフト開発に13億出してください」と言うと、「安いね、君」となってしまうのが本当に危険だと思います。結局、そこで扱うコンテンツの適正評価というものがなされないままにきてしまう、つまりせっかくいい勢いできていたものがそんなあいまいな評価材料しかないとすると、出資者にはあいかわらずリスク産業としてしか映らない。

きちんとしたデータ、マーケットサイズがわかるもの、そういうものをいろんな人がいろんな角度から分析できる環境になってはじめて、例えば学生の雇用をどのくらい創出するかとかが示せるようになってはじめて、マンガやアニメにもしっかり目を向けられるようになるのではないかと考えております。

 

富沢 素人的に考えると、成功してくれるモデルがあると、「ああ、そうかな」と納得する部分があると思います。例えば、一昨年でしたか「もののけ姫」とか「エヴァンゲリオン」というのが国内で非常に盛り上がりました。先ほど田中さんから、吉祥寺の雰囲気というか吉祥寺で生活している自分のリアルなものを出すと評価されるというお話がありましたが、「もののけ姫」を見ると、日本人である私にはすごくよくわかるんですよね。だけど、それを今度アメリカにもってたったときに、どこもフィルムに手を入れるなという宮崎さんの哲学があって、そうすると、アメリカにとっては殺すのがいけないのか、ともかく受け入れられなかった。ある程度の興行に終わってしまったと聞きました。

逆に「ポケモン」の場合にはちょっと修正したと聞きました。アメリカ人は最後に主人公が生き返る意味がよくわからないというので、最初に日本人の何とかさんの涙は生命を吹き戻すんだというようなナレーションを入れて、その復活する意味がわかるようにしたという話を聞きました。国による違い、宗教による違い。ポケモンの場合はそれに併せていったらしいんです。それが市場を大きくした一つの要因ではないでしょうか。

 

 

 

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