本当ならば出資する側も、例えば松本太陽というのはどんな人なのかということは知っていなければいけない。いまのマンガはどうなのか、世界のマーケットはどうなのかというそういう背景を知ってなければいけないんです。そういうことがわからなくて、とりあえずマンガって儲かりそう、アニメって儲かりそうと考える人は、13億というのは高いねとなってしまう。そういうことではないでしょうか。
牧野 先ほど指摘しましたけれども、私は「高い」と言ったのではなくて、「足らない」のではないですかと意見をもうしあげたのです。逆にとらないでください。
竹内 たしかにプロデューサーはそういう努力をしていくべきだと思います。出資しないほうが悪いという言い方はしたくないので、どうずれば新しい時代を作るアーティストを、およそ一生マンガやアニメを積極的に見ない人にもわかってもらえるかという努力を。
もう一つは、先ほど朝日新聞さんがいらっしゃいましたので、例えばいま日本のアニメーションの全世界的な産業レベルの市場金額というものをどこかが把握しているかといったら、実は、私がある会社を立ち上げるときにそれを出資者に報告するので調べましたが、そのようなデータが殆どないんですよ。ワールドマーケットにおけるジャパアニメーションのいま現在の産業規模、「ポケモン」も含めていろんなアニメーション、劇場含めて。テレビゲームにはそういう資料がありました。ただ、マンガ・アニメーションに関していうとない。そうすると、経済サイズ、マーケットサイズがわからないところで、投資サイズはいくらが適正化ということもわかりません。
だから、まずそういう資料データなどを東京財団さんが、こういうシンポジウムをやられるうえで発表するということは、これは本当に作り手にとっても、逆にメディアにとってもものすごく活用できると思います。更に、そこに今後ますますITという産業が入ってくると、新しいメディアに対するビジネスチャンスが広がってゆく。