そして、アメリカ、香港とかそういうところからあるいは日本も含めて資金を集めて、そしてつくってヒットさせていく。もちろん失敗してしまうものもありますが。
先ほど竹内さんが言う日本。日本というのは、私からみればその日本というのが、別に全部日本人で日本のお金でつくったものだからメイドインジャパンとは考えないと思います。むしろ、その内容、例えば日本的なエッセンスがうまく表現されれば、私はそれはもう日本のものだと思います。企業行動としては、むしろグローバル的に考えるべきだと思います。
清谷 先ほど牧野さんがおっしゃった高いという話ですが、これは何をもって高い、安いという相対的な問題です。そこには判断力が多分に関係してきます。私は軍事ジャーナリストをやっておりますので、戦車1台5億円と聞くと安いと思うわけですよ。なぜかというと、日本の技術戦車は1台15億円しますから。ですから、「5億円、安いね」と思う感覚があるわけです。出資するほうにアニメ1本13億円で安いのか高いのかと。そこでどれだけリターンを見込みめるのかという判断力の問題なのです。
たまたまこのあいだ読んだ本に、ある国の大使が他の国の高官を巻き込もうと思って、花束のなかに賄賂を入れた。いくらかというと300ドルだと。300ドルというのはたかが3万円と僕らは思うんだけれども、その大使にしてみたらものすごい金額なわけです。張り込んだわけです。ところが「なに、これ」ということになってしまったという話が紹介されていました。
だから、よく日本のこの業界にもいらっしゃるんですが、アニメをつくるときに手塚さん原作だというと、話がとおるわけです。なぜかというと、手塚治虫、マンガの神様、一番有名という根拠です。ところが、実際につくってみると、手塚さんの作品というのは、こういっては何ですが、あまりアニメで最近はあたってないわけです。でも、年をとった会社のお偉方をだますには、「手塚治虫先生です」というと、話がとおってしまう。