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野崎 ちなみに、いまの竹内さんが考えているビジネスモデルがあるではないですか。13億集めて、どこにこうやって売って、というビジネスプランが。いわゆる事業計画ですよね。それを信用するかどうかというのが、産業として成立するかということで、信用しない人は見る目がないのかもしれないんですよ。だから、先ほど佐藤さんがおっしゃった産業としてどれだけの人々を食べさせていけるかという点についていえば、ちゃんとしたビジネスモデルをもっているプロデューサーがまだ数的にはいないのかもしれません、現状では。

 

牧野 竹内さんは、いま億という単位のお金がある程度イメージできると思いますが、ごく一般的な日本人とか一般的な漫画家では、億というお金がどのように動いて、どう機能するかというイメージは、実際にはわいてこないというのが正直なところだと思います。日本のマンガがなぜここまでエネルギーを持ち得たかというと、藤子さんの「マンガ道」ではないですが、本当に汚いアパートの一室、みかん箱の上で紙とペンだけで一人の人がひとつイメージを、自分の世界というものをつくり得たからだ。―そういう世界からスタートしているんです。まさに貧乏物語なんですね。

大村晧一さんがいらしたフォーラムでもハングリーでなければできないのか、できるのかということが話題になりましたね。その「ハングリー精神」をベースにものを考えるしたら、億という単位は大きすぎるように思います。

 

竹内 それに関しては、これは私の考えですが、漫画家先生や監督というアーチスト達は、お金の単位とかマーケットに関してのリアリティをもつ必要がないと思います。実際、それはプロデューサーが負うべき役割で、それを一緒に、アーティストに対してお金を集めるために同席してもらうようなつきあいはしてもらうとしても、アーティストが純粋に求めるのは、何をつくりたいのか、その人間がつくるために何が必要なのか。

 

 

 

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