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本当にこの原作者の方は優れた漫画作家です。ただ、藤子不二雄先生に代表されるような、現在の日本のアニメビジネスマーケット的にも凄いかというと、違うと思います。ただ、次の時代を変える何かをもっている人だなと思います。そういう人たちになかなか光があたらない。でも、海外では知っている人たちが多い。そんな環境を変えるために、どうアニメ産業に興味のない人たちに理解してもらうか、そのために何が必要か、と考えた結果が作品のステイタスをあげることではないか、と考えた結論です。

ゆえに、この作品はとにかく世界中の様々な映像コンテストに出しました。日本のCG映像業界では、最近やっと知名度が上がってきていますが、お金にはまだつながっておりません。海外でも様々な映画祭などに出展し、かなりの評価をいただいていますが、その実績を国内に伝えても実際はやはりお金につながりにくく、まだまだ世の中で言われているほどアニメーションとかマンガがビジネスにすんなり出資が集まるような状況になっていないなということを感じております。

 

牧野 先ほどちょっとお話に出ました「白雪姫」も、制作当時は大赤字で、担保にするものもなくて、ネガフィルムを銀行の金庫に預けて、やっと「白雪姫」という長編マンガができた。それによってディズニーの才能が花開いたという、これは有名な話になっていますが、やはり、その時代を画するような新しいことをやろうとすれば、そういう苦難はついて回るのか。ついて回らないとそういうものはできないのか。いや、東京財団とか、日本財団のようなところがドーンと驚くような出資をして何かが起こるのか―。

 

野崎 それは非常に短絡的ですよ、考え方が。誰かが出資すればそれで済むということではなくて、信じてやっていればそうなっていくんです。

 

牧野 それにしては、ちょっと金額が大きすぎるんですよ。

 

 

 

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