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アニメーションとかマンガはなぜいま国際的に、というご質問を牧野先生がおっしゃいましたが、CGアニメーションの世界でも、作家性であるとか、オリジナリティ、新しさ、そういう努力をしているクリエイターはいまの日本のCG業界には不足しています。であれば、もうないものはないとして割り切って、世界中からスタッフを集めて海外流のスタイルを形成していく。国際化の背景にこうした現実があります。でも、作る作品は日本のマンガ原作で、日本人の監督さんの演出を生かすためのソフトを開発したり、新しい映像制作の環境を作ってということでやっている仕事です。

やっていくうちに、これは2年前の段階で、劇場映画をつくるのに13億円強かかって、実はいろんな日本の大手の映画会社に映像をもって回ったのですが、皆さん、映像を見せると「いいね」と言うんですが、値段を聞くと「それは無理だよ。採算がとれないよ」といってそのまま止まってしまう。正直言うといま予算は3分の1、だいたい4億円ぐらいしか集まっていないです。海外でどうかというと、昨年アメリカのCGイベントで上映されて、結構いろいろな国の方々からいろんなビジネスパートナーとか出資で参加したいというような話をいただいたりして、実際、いまハリウッドのメジャー会社2社と具体的に映画出資や共同プロデュースによるシナリオを制作共同というようなこともやっています。

実現するかどうかわかりませんが、こういう試みをやっていかないと駄目だというのを自ら実践していますし、田中さんはそういう意味ですと、私よりもすでに、のちほどまたお話があると思いますが、非常にいまの日本のアニメがもてはやされている裏側で、本当に新しい作品、次世代を担う作品、世界に誇れるような作品に対する挑戦をどんどんやっていらっしゃるんです。

先ほどの野崎さんの話ではないですが、自分が好きだからいいんだ、という姿勢では駄目だと、巻き込んでいかなければいけないということで、いまのメイキング映像は、アニメを見たことがない大企業の人たちにどうわかりやすく、このアニメの作品を伝えるかということを目的にした映像です。

 

 

 

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