田中 アニメーションが残像効果だというところからまずスタートして、あと、アニミズムという生命を吹き込むという意味でのクリエーションだというふうに思っています。清谷さんがおっしゃってくれたお話を聞きながら思ったのは、私はなぜプロデューサーになり得たかというと。作品制作をする上で、社会が認知して「これはすごいよ」という評価や、経済産業効果として波及していくという評価は必要なんだけれども、「あなたの考えているちょっとしたパラパラマンガ、またはあなたがインスピレーションで思ったこと、またはこんなことを言ってもなあと思った気持ち、そこがすごいじゃない」と言う可能性を作品に創ってきたんだと思うんです。
そんな作り方から生まれた作品が、ここ2、3年、本当に力になってきたなと思っています。映画をつくってから音楽をつくるのは当たり前なんですけれども、音楽が先にイメージとしてあって、それに画像をつくってみたいと、クリエイターの森本晃司が言い始めたわけです。そんなものは商品としてもどこにもなかった。だけど、音楽からイメージしたアニメーション作品「エクストラ」が一役買って、フロア音楽の隆盛やVJなどのジャンルも育ったといっても過言じゃない。
違うチャンネルから市場を広げていくという経済効果はあるのではないかと思っているし、きちんとそれがアーティステックなものだという評価をえて、大事にされていき、それを社会に認めてもらい、そこで生まれるメディアとのコミュニケーションも絶対に大事だと思います。ある誰かのアイディアとか感性とかイメージという、ある一人の人間のもっている創作力のすごさ、これを評価していけばいくほど可能性が広がっていく。それを表現するために、アニメーションという映像が、一番イメージを広げやすい道具なんだと思います。