話が長くなってしまいますが、私、「もののけ姫」とか大友克洋というのは非常にすばらしい作品・クリエイターだと思いますが、すばらしい作品が市場をつくるのは一定限度までだと思います。かつ、売れる額というのは非常に限られている。最初はそれで満足するんでしょうけれども、もっと大きな市場を得ようとすると、昔の某出版社の映画ではないけれども、マルチミックスというのですか、メディアミックスをやったり、「ポケモン」みたいにいろんな子供用の本とかグッズとかカードなど関連グッズを混ぜて売る。商売に徹しないと大きなマーケットを得られないと思います。そして、大勢の人間を養うことはできないと思います。
例えば、アメリカの映画なども日本でもヒットした「アルマゲドン」なんていうのは、真空の宇宙空間で流れ星が燃えているなんて、子供が見ても笑うような作品ですが、あれがヒットする。だから、真面目に考えていいものをつくったら売れないのではないかとさえ思います。これからは本当に、アニメとかそういうものだけではなくていろんな付属品でどんどん儲けようと、商売気をもっと前面に出さないと、21世紀にこのアニメ産業というのは残らないのでないかと思います。
ですから、先ほど芸術だとか文化、それを伸ばしていく、日本固有の風土を生かしたものを売れば、外国でもオタクが評価したり、ある程度の人間が評価してくれるというのは、それは本当かもしれませんけれども、それでは産業にならないのではないかと思います。俗悪なのものでもどんどん売ってしまって、それに付随したもので稼ぐという商売に、どこかで魂を売らなければいけないのでないかと思いますが。
清谷 いまの議論、例えば産業としてどうかというときに、いわゆる世間一般のアナリストの人たちとかが産業を評価するときに、だいたい考える話で、頭というのは、人間×お金(資本)を投入すれば市場はこうなっていくという手法があります。ところが、こうした手法が、文化に関していうと必ずしも当てはまらないんです。