実際問題として、外部の人間だけでなくて、このなかの内部の人間でも、例えばどことは言いませんが、某映像会社の版権部長などは、ちょうどBDエキスポがあるときにフランスにいたにもかかわらず来てないんですよ。意外な話かもしれませんが、映像関係の会社の上の人たち、例えば取締役の人たちというのは意外とアニメを見たことがないとか、ガンダムとエルガイムどこが違うんですかとか、テレビゲームもしたことがないという人たちが、実際にテレビゲームをする会社を経営しているわけです。
竹内 そのようなお話ですと、私がこの2年ぐらいで、マンガ・ズーという会社も実は大手商社さんからも出資を頂いていますし、先ほどの「ビックリマン」に参加しているコミックスウェーブという会社も、同様のご出資をいただいていますが、およそ商社がマンガとアニメ産業に出資して会社をつくらせるというのは、私の人生のなかですごいエポックメイキングな出来事でした。
実際、私のマンガズーという会社に商社から出向で来ている人は、一流国立大学を優秀な成績で出て大手商社マンになったのに、マンガ、アニメの会社に出向することで悩んでいたようです。しかし私がこれからのマンガとアニメはこのようになってゆく、と話をしたら、一緒に頑張りましょうというふうに言ってくださいました。商社とか大企業でもこのような変化の兆しが見られます。今お話いただいたご心配のようなことは、むしろ現場的にいくと積極的になりつつあるなと私は認識しています。
では、どこが一番遅れているかと言ったら、むしろ、一般マスコミではないでしょうか。世の中にそういったことをきちんと伝えるというところがちょっと弱いように思えます。
野崎 朝日新聞の佐藤さんどうですか。
佐藤 すみません、話の腰を折って申しわけないのですが、私は経済部の記者なもので、文化とか芸術というのはほとんど関心なくて、このマンガ・アニメというコンテンツでどれだけの人間が食っていけるかと、どれだけ大勢の人間が食っていけるように育てなければいけないか、それにしか関心がないんです。