見たい人が、それがどの国であっても、見たいものを自分でお金を払って見るという、そういう機会が増えてくれば、いままでお金がなくて作品を作ることができなかった監督さんが望める作品を作ったり、田中さんのような優れたプロデューサーが苦労して出資の営業を行った時に、本当にその作品を求める人たちからお金が集まったり、単純に作品をつくる機会が増えるという点からも、非常に良いことが広がっていくと思います。
ただ、日本だけで考えると、政府や一般的にマンガ・アニメを見ない人、またこのような産業のことをあまり考えない人たちに、どうずれば自分がやっている仕事を認めてもらえるかという努力も必要ではないかと思います。本当に評価するのは海外だけということになると、日本人の優れたアーティストや国内の優れた作品がどんどん海外流出してしまって、日本人である私としてはそれは非常に悲しいことだと思います。できれば、海外と一緒にやりたいけれども、日本で、日本人であることで作品をつくっていくということは守りたいなというところがあるんですよ。
ですから、ITもどんどん活用する。ただ、もっと日本の中でもこの産業を評価してもらいたいという、この二つの要素はすごく必要であると感じます。でも、おっしゃるとおりになっていくと思いますので。
牧野 清谷さん、ご自分の紹介も含めてお話していただきたいのですが。
清谷 先ほど竹内さんがおっしゃったドミニクの話を中心に描いたフランスのオタク事情を紹介した『ル・オタク』という本を書いた清谷です。
田中さんのところの森本さんとも、実は今月の頭にフランスでBDエキスポというイベントがありまして、それを取材してきたばかりです。