実はこのあとでお二人とも講演で精華大学にいらっしゃって学生たちに話しかけてくださるんです。それは、マンガの学生だけが対象かというと、それだけではありません。映像という部門もありますし、VCD―ビジュアル・コミュニケーション・デザイン―デザインもいまそういう言い方をします。その学生であり、それから人文の学生もお二人のお話を聞きにくるでしょうし、先ほどの映像を見せていただけたら、きっと強い刺激を受けるだろうと想像します。
竹内 私もいくつかの大学で自分の映像を見せながら、この2、3年講演などをやっていますが、学生は映像を見せると、自分たちの感性に触れるケースが多く、すぐに具体的に反応してきますね。だいたい講演というと通常生徒は何を言ってもシーンとしているんですよ。映像を見せて問いかけると、「いや、先生、僕はあの映像に感動しました。どうずればこの世界に就職できますか?僕はいま何をすべきですか?」など、とたんに蓋を開いたような発言が出てきます。
そういう、エネルギーがこの産業自身、かつてのテレビゲームとか、もっと言うと昔の出版産業とか、テレビとか映画産業がもっていたような若者をひきつけるエネルギーが、いまこのマンガ、アニメーションの産業に注ぎ込まれているのではないかと思います。
そのエネルギーをどう吸い上げるか、という点が、まだまだ追いついていないような気がちょっとするところは感じられます。
牧野 そうなんですね。つまり、読み取り能力―「リテラシー」という言葉でこのフォーラムではよく使われますが―読み取り能力という点で、世代間でまったく違ってしまうのではないか。同じ映像を見ていても、そこから得られる情報というものが、その先生の世代、例えば私のように60歳を過ぎたおじいさんが受け取るものと、それから中堅の先生が受け取るものと、学生が受け取る情報とで違うのではないかという感じするんですね。