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竹内 そうですか。照れますね。

 

野崎 それが芸術だというふうにしていかないとこの国は駄目なんです。マンガでオタクとかいっていると、何か心地よくて、ちょっと引けていて心地よいという、怠けられるという感じはあるけれども、でも、芸術といっていかないと産業として立派になっていかないし、若い人も関わってこないですよ。

 

竹内 そうですね。たしかにいまご指摘のオタクという言葉の裏には自分の世界で完結、つまり安心してしまうという意味も含まれています。「オタク=私的な楽しみ」という位置づけですよね。ただ、正直、いまマンガの世界とかアニメの世界で、私などよりもどんどん活躍している人たちというのは、自分の好きなものを仕事としても人生としてもやりたい。それをやっていきたいということを思っている人たちが、世界に飛び立っているということを感じています。

田中さんを今日お呼びしたのは私なんですが、田中さんとアニメーションの未来の話をしていると、彼女から感じるのは、きれいごとではなくて、こういう人が日本のアニメーションをもっともっと世界中に、ビジネスとしてもマーケットとしても出していく、そういうエネルギーを持っているのかなという感じがします。

 

田中 ところが、私はオタクじゃないんですね。まったくアニメのオタクでもないし、アニメは好きではなかったし、子供ころ本当に小学校の低学年のころ見たけれども、途中からは大学受験のために勉強を一生懸命しましてという方向で、オタクという目からアニメーションをひとつも見たことがなくて、では、いまなぜこんなことをやってるんだろうというと、これも完全にオタクじゃなくて、映像としてしかこのアニメーションを見たことがないんです。

 

牧野 京都精華大学は芸術大学なんですね。そこに設置された学科ですから芸術だと言って間違いないでしょう。

 

 

 

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