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彼らは何をやっているかというと、ハリウッドの映像産業で仕事をしたり、メディア産業で仕事をしている。いま現役で、一線級で活躍している人たちが子供のころに見たり触れたりしたものが、実はジャパニメーションです。ゆえに、自分たちの好きなものを自分たちの手で、国や文化に関係なしにやってみたい。こういう要因があることもすごく私自身は感じています。

 

野崎 私は、何が日本のすばらしい点かというと原作力だと思います。原作力ではハリウッドなどを超えているとときどき感じています。表現力は多少は見劣りするかもしれないけれども、原作力についてはものすごくある。その裏には、伝統というのがあって、歴史というのがあって、常にその時代の若者文化を支えていたと私は思っています。いま世界にどんどん出ていって、世界からありがたがられているものは何かというと、現在の日本の若者文化です。海外でありがたがられて、何となく世界が文化的に日本の真似をしているところがあるわけです。竹内さんもそういったことを常日ごろから感じられていらっしゃいますか。

 

竹内 同感です。一言で言うと、私こういう口調なんで乱暴に聞こえるかもしれませんが、かつて「オタク」というのが日本で登場したときに軽蔑されたことがありますが、私もそのオタクの一員でして、コンピュータとマンガとアニメーションは昔から熱狂的オタクでした。いまどうなっているかというと、自分が海外へ行って感じるのは、世界中にオタクが広がっている。オタクビジネスのマーケットも広がっている。具体的な例で言うとアメリカ・サンディゴで毎年開かれているコミックコンベンションという展示会がありますが、いわゆるアメリカンコミックの昔のものとか、中古品をがんがん売ったりするんです。ここ数年でその会場の来場者がだいたい10倍以上に増えて、扱っているものの3分の1が日本の昔のキャラクターとか、日本のアニメ雑誌の古本がそのまま直輸入で段ボールに入って売られている、それを買いに来る人たちは、私も見たのですが、ベンツで乗りつけたエグゼクティブがアメックスのゴールドカードでこれらをガーッ買い上げ、ベンツに乗せて去っていく姿を見たときに、「ああ、世界にオタクは広がっているな」と感じました。

 

 

 

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