それまでは、海外の何かを真似したり、フランスのベルサイユ宮殿がどうのこうのとか、世界史がどうのこうのとか言っていたのですが、私たち吉祥寺にオフィスがありまして、吉祥寺のハーモニカ横町のどぶ板の風景、自分達の知っている絵、自分達が味わっている悔しさとか楽しさ、そういったものを描き始めたように思います。別に和製というわけではなくて、何かを真似するのではなく、私たちの知っているもの、それを出すと海外が面白いと言ってくれているという実感に出会っています。
牧野 竹内さん、いまの田中さんのコメントに対して、いかがでしょうか。
竹内 いまの田中さんの話と一緒です。私は日本人で、日本人であることに誇りをもっていますが、私たちが感動する、私たちが見たいもの、それは私たちが小さいころから育った日本の風景であったり、日本人特有の感性を持っているという要素が大きいと思います。去年、世界最大のコンピューターグラフィックスの国際コンベンションの席上で、私のスタッフが「ジャパニメーションとアメリカのアニメーション」の違いという講演をやったのですが、どこに差があるかというと、日本人は間(ま)を読む、行間を読むという性質があることから、日本のアニメーションには静止画が多いという面白い分析結果が出ました。しかも根本的なつくり方が違う。そういった違いがある中で、その監督やプロデューサーが何をどう見せたいのか、誰に何を伝えたいのか。ちょっと観念的に聞こえるかもしれませんが、その思いがあればそれに共感する人たちがたくさんいて、時代が経っても、先ほど田中さんが言った廃れない作品になると思います。
今流しているビデオは、昨年、私の会社で関わったプロジェクトです。