野崎 いきなりなんですが、例えばこの「メモリーズ」という作品が、残念ながら10何カ国しかやられてないとおっしゃいましたね。
田中 はい、それも映画祭だけですね。
野崎 これは本当に残念なことです。ものすごい名作なのに何が足りないんでしょう。これを世界中に知らしめるためには。
田中 これはバンダイビジュアルさんが制作の幹事ということで制作委員会をつくっていただいていますが、いまバンダイビジュアルさんが海外に持って行くにあたり何らかのイベントもしくは次の行動に絡めたいという意図があります。単独ではまだもっていかないぞ、次に何か仕掛ける時にまずこれをプレビューして海外に持っていこうなどの戦略があるとお聞きしています。私たちつくった本人としてはとても残念なんですが。バンダイさんとしては、この作品は実はもう5年眠っていますが、5年寝ていても海外に対して劣化しない力のある作品だということを信じているからこそ、そういう戦略を練っているというふうに聞いております。
牧野 いま3D作品を平面的に扱って浮世絵的に表現するというご説明がありましたが、この辺が今日のお話し合いのなかでもポイントになろうかと思います。
竹内さん、日本のマンガ、アニメーションは、いろんな形で世界的な注目を受けているわけですが、これはたまたま日本の作品が量的に多かったから目立ったのか、それともそれをつくる日本人の感性のなかに、―いま浮世絵というキーワードが出ましたが、何かそういった特徴があるから世界から注目されているのか、そのあたりについてどのようにお考えになりますか。