開発には1年2年という時間と莫大な開発費がかかるわけです。その金がかかったものを簡単にコピーされてすぐ上市されますと、我々としては開発費の回収が出来ず困るわけです。
それが今、先ほど知事も話されたように、韓国ではゲーム支援センターというのを国で設置しております。200社くらいのベンチャー企業を一つのビルの中に集約し、開発に必要な高度なコンピューター機器など国が設置しまして、これを安い値段で貸与してゲームをつくっております。それを世界へ売り、もうかったら独立しなさいというように国がベンチャー育成を支援しております。アニメーションも同じでございます。この事は、いかにデジタルコンテンツが21世紀の基幹産業に他ならないというヒントです。
牧野 40億というようなお金をかけて一つのゲームをつくるというお話しが聞かれますが、エネルギーとか金額では、映画産業をある意味では凌いでいるわけですね。そうなると、劇場映画というものの意味はあるのですか。
橋口 劇場映画あるいは映像というのは、総合芸術の最高の作品だと思っています。映画というのは、思想や理念をメッセージとして後世に残す手段でもあります。ゲームは、遊びの中から、技術の進歩、精神のリラックスを得る手段で、遊びながら教育する力を持っております。
今言われたように、40億もかかりますと、一握りの資金力、企画力のある開発会社しか製作発売できなくなるわけです。そういう意味では、今ソニーのプレイステーション2というものが出てきておりますが、ハードが高性能になればなるほど、それに対応するソフトというのもそれ相応の金と時間がかかるわけです。ヒットしなかった場合、その会社は開発費が回収できずに潰れてしまいます。
したがいまして、小規模な会社としては、開発にどうしても踏み切れません。力はあるが採算的に非効率となり、開発を断念せざるをえなくなります。