例えば、今日お忙しい中、ナムコの橋口副社長がいらっしゃっています。まさに本業、中心人物でございますから、ポップカルチャーに対するご意見をいろいろお伺いしたいと思います。
牧野 こちらにお座りになっていただいたきと思います。それでは、突然で大変失礼なのですが―。
橋口 ただ今ご紹介にあずかりました、ナムコの橋口でございます。
私どもはゲームメーカーで、アニメーションとか、あるいはマンガに近いものをやっているわけでございますが、ゲームがここまで発展してきたのは、政府の介入がなかったからではないでしょうか。といいますのは、自動車産業等をみてもある段階のところまできますと政府が介入しまして、日米交渉だとか何とかありまして発展の自由度が削がれ、大変苦労するわけです。
しかし、ゲームの場合は、まず、政府がゲームを悪の温床ととらえ、風俗営業法の下で厳しく監視されました。それを我々は、よく学びよく遊びというように、子供たちに健全な遊びというものを教えなければいかんのだと真剣に取り組み、あらゆる啓蒙、技術の追求を行い、今やそれが21世紀のITを支える世界に通用するコンテンツは、日本ではゲームの映像が一番であろうと言われるまでになりました。
このことから考えましても、今、アニメーションにしましても映画にしましても、映像産業は日本では通産省の管轄下に入っております。これは、産業という観点でとらえていることです。ところが、世界各国を見ますと、文部省だとか文化庁も深く関わっています。ということは、日本はこれを文化として捉えていないということなのではないでしょうか。
今、韓国では、映画を文化としてとらえております。産業ととらえると、ハリウッド映像が市場開放を唱え、どんどん入ってきて彼らの儲けのために利用され、結果として、文化を金で売り渡す事となり、自国の文化は滅びると考えているようです。映画を見ますと、その国の文化というものがわかるわけでございます。