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それを理屈で言うとちょっと長くなるのですが、今までのように科学、科学でやってきた方がかえって頭が悪くなる、ということをハーバードやスタンフォードの学者が言い出しました。その時にで出てくる単語が、例えば「暗黙知」。総合的直観力があるのに、それをわざわざ使わずに蓋をするというのは馬鹿げているではないかというのです。

それから「揺らぎの理論」。もう御承知だと思いますが、人間の目玉というのは、せっかくピントが合っていてもまたはずすのです。それで、右から見たり左から見たりして、やはりここにあるらしいと見当をつけるというふうに視神経ができている。

こういう例からわかるのは、理論経済学でピンポイントでここが正常価格であるというようなことを言い合っているのがそもそも間違いなんですね。そのあたりを揺らいでいるものなのだと認識すればいいのです。まあ、あたり前のことですが(笑)。

あるいは「曖昧の理論」。こんなことを言われると、今まで一生懸命勉強した人は損をしたことになるのですが。そういうことが、まさに科学の最先端で起こっているわけです。だから、少しは科学離れをした方がいいわけであります。

日本人は昔からマンガが好きでありまして、これはなぜかというのを無理矢理理由付けして考えますと、まず、漢字は絵なのです。あれは、もともと略画なのです。馬というのは馬が走っているところだし、鳥もそう。羊はいかにも羊の恰好だし、女という字は女性が赤ん坊を抱いている姿なのです。

漢字が一番最初にできた時は、商売の記帳のためだったのです。馬3頭とか羊6匹というときに、これは馬ですよと。最初にそういう商品名の漢字ができて、それから、一二三四五ができたのだろうと想像しているのです。漢字はもともと絵ですから、漢字で書いていると、それは絵を描いているのと同じことでありまして、アルファベットとはそこが大違いです。日本人は物事の認識が絵画的である。これが一番大きい影響。

 

 

 

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