梶原 私は、碁とか将棋とか柔道とか相撲と同じではないかなと思います。日本から発達したのか、あるいは大陸から来たのか定かではないのですが、碁にしても、一番洗練して一つの文化にしたのは日本なのです。将棋もそうです。いろんな将棋があるが、日本の将棋が一番完成されたものではないか。柔道も相撲もそうです。
何でも、「道」と言いますか、そこまで極めてしまう、そういう日本という島の歴史、伝統があるのではないかと思います。焼き物にしても、やはり日本の焼き物というのは素晴らしい完成品であると。その逆に、古伊万里などはヨーロッパに行って、今、マイセンとか威張っていますが、日本の影響を大きく受けているわけなのです。
マンガというものも、要するに、絵物語というようなものは世界のどこにでもあるわけです。「東海道中膝栗毛」とか、そういう絵物語とか、色々ある。そういう絵物語を完成してしまったのが日本ではないか。それは、碁とか将棋とかと同じなのではないか。私なりにそう思います。
何と言いますか、悪い意味で言うと、吹きだまりというか、そういうところで純化されて結晶になっていくという、日本列島は色んな面でそういう役目を果たしています。マンガもその一つではないかと私は思います。何も、歴史上を遡って研究したわけでも何でもありませんが。
牧野 しかし、焼き物の中でも特に織部に着目されて、その自由さということを説いておられますね。県の方々にも自由な発想というものを、織部の焼き物を通じて学べというふうにおっしゃっていますが、特に織部を顕彰されたということは、やはりその自由さにあるのでありましょうか。
梶原 そのように私は思っています。