つまり、先生は何も教えなくても、彼らは、高校時代から、―もっと前からマンガを描いていて、それで先生に指導されなくても自分たちで編集してしまうのです。
それから、アニメーションでも、ワークショップを開きますと子供たちが来て、一週間、もしくはたった一日で、簡単なアニメーションをつくってしまいます。これは、私たちの10代、20代の頃には考えられなかったことであります。ハイテク技術の裏付けがあってのことだとは言え、同じ日本人なのにそう短期間に変わってしまうのか、もともと日本人の中にそういう素養があって急成長したのか、―それが一つのポイントです。
今知事から未来に向けて、政治家としてのさまざまな文化施策をご説明いただきました。その基本的部分に言及したいのですが、さっき日下さんがおっしゃったように、「フランスでは朝からテレビで、日本アニメとアメリカアニメを流しているために、子供たちが教会に行かないでマンガばかり見ている」というような現象までおこっている。フランスの文化担当官によると、「これは文化侵略である」とまでおっしゃることがあるのです。
このフォーラムは今回で5回目になります。さまざまな方にここに来ていただいて、私も連続してお話を伺っているわけなのですが、共通して質問していることが一つあります。それは何かといいますと、「日本ではマンガがこんなに発達した。最初、日本人の大人までがマンガを読んでいると奇異な感じを受けたものだが、内容を見た外国人は、これは当然であると、大人が読んでも文学的な深みや幅広い表現力を備えている。そして、歴史から経済、あらゆる事物を対象にしているのが日本のマンガであるという認識があります。
―以上を下敷きに、「MANGA」という言葉が世界に広がっていった理由として、これは何か特異な現象なのか。いや、たまたま日本でそういうことが起こっているだけで特異ではないと思われるか。日本にはこういう理由があるからきっとマンガがここまで発達したのだというようなご指摘がありましたらお聞かせ願いたいのです。―もちろん、私個人の意見もあるのですが―「MANGA現象」を知事はどのように受けとめておられますか?―後、日下さんにも、同じ質問をさせていただきたいのですが―。