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よく、「大学生がマンガなんか読んで。」と言われた時がありますが、私は大変結構なことで、次は、大学を卒業して実社会までマンガというものを延長していかなければいけないのではないか、このように思います。

なぜ、あれだけ子供の時代にウェートが高かったマンガの影が薄れていってしまうのか。私にとっては不思議なのです。だから、マンガを県の行政に取り入れるということは、何も事を構える必要はなくて、ある意味で軽い気持ちでやっているわけです。マンガ立県というと、何か珍しいことをやっていると言われますが、珍しいことをやっていると言われるようでは、日本もだめだと思います。

マンガというのは素晴らしいメディアだと思うのです。ビジュアルであるし、非常にビジュアルなだけにアピール力がある。そして、イマジネーション、想像力も働きますし、ユーモアもある。日本人に欠けているものがマンガの中に内蔵されていると私は思います。そういうメディアを、やはり実社会の中で、あるいは、一番堅物と言われている役所の中でも大いに使うべきではないか。使わないともったいないのではないか。こんな感じなのです。

これは、やはり社会の変化と関係しているのかなと思います。マンガが抑圧されるということは、管理型社会の時代ではないか。余り伸びやかな発想をされても困る、マンガの世界のようにとんでもないことをやってもらっても困るというような管理型社会の要請があった。それを反映して、マンガというものがだんだん、小学校、中学校、高等学校、大学と進むによって影が薄れてくる。そして、実社会では無視される。こういうことではなかったかなと思うのです。

今、時代はどうかと言いますと、IT化とか色々言われていますが、工業革命から情報産業革命ということで、創造力と言いますか、伸びやかな発想で新しい価値を生み出さないといけないということです。そういう意味で、マンガというものがこれから注目されていくのではないかと思います。

シリコンバレーの研究をされた、カリフォルニア大学のバークレー校のアナリー・サクセニアさん、当時助教授だったのですが、今はどこかの教授をやっておられると思います。その方に岐阜県においでいただいて、講演会を開催し、そして、ついでに座談会、対談をやりました。

 

 

 

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