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これは大変重要であります。アメリカの80年代のレーガン時代の情報戦略というのは、まさに14歳までにいかにアメリカを教えるかということでいろいろな政策をしてきました。もしも日本のアニメーションを海外に出して、それを突破口に様々な日本的なものをそこに入れようとするのであれば、恐らく14歳までにいかにその日本のアニメを見せて、例えば飽きても構いません。見せてしまって、その後どうやって育成していくかと考える。さっきの例と全く同じです。そのローカライズ、現地化のお手伝い役として、財団や大使館、第三セクターのようなところが、恐らく今後は非常に重要な役割を持つのではないかと僕は考えます。

 

牧野 フランスの文化担当の二等書記官だったと思いますが、霞ヶ関で講演をされたときに、やはり日本のアニメーション、アメリカのアニメーションがフランスの子供たちに非常に大きな影響を与えている。教会に行くのをやめて、そのテレビのマンガを見ているということが話題になりました。そのときに二等書記官は、「これは私どもの見方からすると日本の文化侵略である。」―文化侵略という言葉を、これは訳してくださった方がそういうふうに訳したのですが―そういう危機的な感覚で受け止めていて、「私たちはそれを何とかしなければいけないのだ。このアメリカと日本のアニメーションの洪水にフランスの子供たちをさらしておけない」というような、そこまで話されたのです。「そばを食べるのをやめてハンバーガーを食べるようになってしまうかもしれない」と言う先ほどの話にも繋がる、たいへん重要なポイントです。―つまり国が関与するというときに、“文化的な表現”に関与するというのではなくて、メディアが持っている非常に大きな影響力というものに対して配慮するというか、少なくともその事実を知っている。それくらい大きな影響力があるんだよということを知っておく必要はあるだろうと思うのです。そのときにどこまで政府とか、大きな力のある団体が関与するかということは非常に大きな問題だと思います。関与の仕方ということもまた考えなくてはならない。行き過ぎがあったりですね。

 

 

 

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