高城 それはアニメをビジネスにしている会社がやるべきでしょう。それか、アニメで儲けたいと思っている会社がやるべきでしょうね。
牧野 一口にアニメーションといっても、大劇場で上映されて多くの収入を得るという作品と、この連続フォーラムの成果物として一つ候補に挙がっているもので、「世界学生アニメフェスティバル」があるのですが、ここに登場するアニメーションというのは恐らく全く市場で流布されているものと形態も製作のプロセスもみんな違うだろうと思うのです。では役に立たないかというと、どこかでつながるわけです。そういったものもこのフォーラムの成果物として予測されているのです。気運が生まれて、東京財団はそういうコンセプトのもとにこういう連続フォーラムをしているのですが、その12回の終了を待たずに、高城さんなら、具体的に今こういうことをやるのが一番いいのではないかつまりいろいろ話すだろうけれども、結局はこういう結論になるのではないかという予測はできるでしょうか。
高城 余りみんなで話したりしないこと。それは最大公約数しか生まないから駄目です。そうではなくて、みんなが反対するようなものに懸けること。多分みんなで話し合っていい曲ができたり、いいマンガや、いいマンガの市場そのものは生まれてこないと思うのです。だから才能かどうかはわかりませんが、何か一人の考え、それは僕ではなくて、実際にマンガを書いたりキャラクターをつくる人なのでしょうが、それに思い切り懸ける。それはリスクヘッジのために複数懸けること。その中から一人小室哲哉みたいな人が生まれてくれば全部が変わります。流通も変わる。音楽という考え方も変わる。当然ながらビジネスとしては成功する。
牧野 それでいいわけですね。つまり全体を底上げしてよくしようということではなくて、そういう努力をしている間に何か思い掛けないものが生まれてくるかもしれない。その思い掛けないもの1つをつくるために、99の無駄をやるということかもしれませんね。