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しかし私に言わせれば、つまり20代だけで、一番エネルギッシュなときだけで終わってしまうのではなくて、ある程度長いスパンで技術者を技術者として育てていくというような環境と、それを見守るプロデューサー、ディレクターというものがなくてはいけないと思うのです。それ以外に、例えば東映アニメーションのような大きなグループといいますか、組織が日本のアニメーションやマンガに対してある一定のスタンスを持って、長期の視点で動かすというようなことも必要ではないかと思うですが、この辺に対するご意見をお聞きしたいと思います。

 

高城 僕がコメントしていいかわからないけれども、とにかくみんな劣悪な環境が好きなのではないですか。それは価値観の問題だと思うのです。例えば僕はたまたま今日はいい服を着ていますが、普段はTシャツとかぼろぼろの服を着ているわけです。別にそれが好きだから。カップラーメンもよく食べますが、カツ丼を食うお金がないわけではなくて、カップラーメンが好きなのです。僕の友達のアニメーターやマンガを書く人やCGをつくる人とか、インターネットのプログラマーとか、本当に身なりもぼろぼろで、会社に寝泊まりしたり、もう展示会場などでもずっとぼろぼろの生活をしていますが、あれが好きなのです。そこに、では給料を倍にすると言っても同じことだと思うのです。人間性の問題だと思うのですが。大切なのポイントはそこにありません。それを格好悪いとか、劣悪だと思っている側に問題があると思います。問題はここだと思います。だって、さっきの図をもう一回書くけれども、見方だと思うのです。そちらの方が問題だと思うのです。

僕は一番最初に「A→B」と書いたわけです。Aという劣悪な貧乏な人、例えばフォークシンガーで、Bになるときが大金持ちなミュージシャンだとします。これは「モーニング娘。」でも「猿岩石」でも何でもいいんだけれども。売れない貧乏な子がたくさんいるのを、うまく組み合わせて、ヒットするものに育てていく。

 

 

 

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